不在ということの不在
風向きが変わったのか
君の匂が届かなくなった
風向きが変わったらまた届くのか
このまま遠ざかって行くのかはわからないけれど
もうずいぶん前から
こういう時の心の準備を私はしていたのだろう
君の匂は強くよく感じられても
いつかは消えるし
いつだって匂だけで姿は見えないものと
そう思うようにしてきたんだろうね
君の存在に関わらず
君とこれからもどうつきあっていくかは
私次第であることを私は知った
君の不在ということはないんだ
君はあの短い期間の後は
ずっと
ずっと
不在だったから
君在りとも無しともいつか吾のみぞゆゑに君を恒に留めん
君の存在の有無に関わらず最期にのこるのは私だから、私の生死にも関わらず私のうちに君を恒に留めておこう