無道
君独特の雰囲気を放つものは見えなくなってる
君は灰汁が強い。
そして灰汁は苦いけど一度口にしたら忘れられない衝撃を脳に埋め込むようで、あまりに苦いその味は良く効く薬のようでもあり、確かに私の闇に日矢のような光を差し込んでくれる……けどその苦味を思うと口にできなくなる時もある。
そう、最近君に感じるのは市販薬のような苦味と効き具合なのかもしれない。
そんな中にも君らしきものは感じている。
忘れようとしても忘れられないことは自分でも嫌なぐらいわかっているから、心のさせたいようにしている。
脳に埋め込まれる回数が増えると麻薬のようにもなる苦味。
それが怖かったのかもしれない。
君と出逢った後の半年ぐらいがそうだったから。
そんな風になった私を知りつつ、君があの時何をしていたのかも知った。
それは私の、君のせいではなく、なるべくしてそうなったのだと今はわかるけど、悲しみという傷はなかなか消えない。
傷は傷跡になっても時々視界に入っただけで痛みが蘇る。
みんなそんな傷跡を幾つか持っているんだろうけれど……。
苦々し君を甘しとあぢはふる心の無道(むどう)如何にか心得(こころう)
苦さ(苦しさ)を甘い(甘美)と味わってしまう心の理不尽さを(私は一体)どのように理解したらいいのだろうか